2015年10月18日

木村明子さん連載更新「動植物園」を散歩

<消しゴムはんこ通信編集部/2015年10月18日配信>

消しゴムはんこ作家・木村明子さん(くま五郎本舗)の連載
「木村明子のさんぽではんこ」をお届けします。
(毎月18日頃更新予定)



温かい食べ物が恋しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。千葉県を拠点に活動している消しゴムはんこ彫り、木村明子と申します。

冒頭から恐縮ですが、スタンプカーニバルでお会いできた皆様、ありがとうございました。「散歩、見てるよ」というようなことを何度か言って頂いたので、これからも張り切って歩いて行こうと思います。

さて、「木村明子という人物が各地を散歩してはんこを作る」というこの連載、今回は千葉県にあります「動植物園」に行ってまいりました。なぜ動植物園に行ったのかを説明するには2ヶ月ほど前にさかのぼる必要があります。8月のある日、SNS上で「自然と触れ合って癒されたい、どこかいい場所ないかしら」とつぶやいたところ、私が所属している消しゴムはんこサークル、「市川あやめサークル」のメンバーさんが教えてくださったのが今回向かった動植物園でした。


私が動植物園の最寄り駅にたどり着いたのは午前9時のことです。動植物園にはここからバスで15分ほどとのこと。きれいに晴れているとはいえ平日の開園前からバスに乗る人はいないらしく、動植物園の停留所に降り立ったのは私ひとりでした。「これはひょっとして動物達と自然をひとり占めかしら」などと思っていると、観光バスが2台やって来ました。見ると両方小学校2年生の遠足のようです。動物達と2年生のみんなが戯れているところなんて絶好の癒し光景です。入り口で少し待ってみましたが、2年生のみんなはなかなかやって来ないので先に動物園に入場することにしました。


園内でまず目についたオリに向かいますと、そこには「インドクジャク」と書かれたボードがありました。しかし中にはニワトリが1羽混ざっておりました。「なんでニワトリがクジャクのオリにいるのよ、ぷぷぷっ」と笑いながら見ておりますと、「きっ!!」とこちらを向いたニワトリがくちばしの下の部分を振り振りやってきて、何か言いたげにじっと私を見つめた後2度ほど床をついばみ、去って行きました。ニワトリのまっすぐな瞳を見て、私はなんだか申し訳ない気持ちになりました。

隣の「なかよし広場」に入りますと、3頭のヤギが放たれておりました。近寄ってカメラを向ける私をまったく気にせず落ち葉を食み続けるヤギ達。ひと通りヤギ達を激写したところで買い物カゴを持った飼育員のお兄さんが現われました。お兄さんの持つカゴには3匹のモルモットが入っております。専用の台にモルモットを放しながら、お兄さんがモルモットと触れ合うことを勧めてくださいました。せっかくなので、そばにある椅子に座ってモルモットを膝に乗せました。私の膝の上にたたずみ鼻をひこひこさせるモルモット。つぶらな瞳とふかふかの毛が可愛らしいです。ひと通り触れ合って写真も撮ったので、モルモットを専用の台に戻しました。するとどうでしょう、身動きひとつしなかったモルモットがものすごい速さで仲間達の元に走り去って行くではありませんか。走り去るモルモットの背中を見て、私はなんだか申し訳ない気持ちになりました。


なかよし広場を出ますと、バスを降りた2年生のみんながやって来ました。みんなは今にも動物達の元に行きたそうですが、先生方のご指導により解散できないようです。レッサーパンダのオリの前にいる時に「あ、レッサーパンダだよ、可愛い!! 早く見たい!!」などの声が聞こえてきました。ひとりで自由に楽しんでいた私は、なんだか申し訳ない気持ちになりました。

「癒されに来たのにさっきから申し訳ない気持ちになっているのはなぜだろう」と考えながら園内をふらふらしておりますと、自然博物館を見つけました。中に入りますと、亀やトカゲや虫、また野鳥の剥製があったりなど見ごたえのある展示が続きます。その中に気になるトカゲがおりました。ガラスのケースに赤いおなかを押し付け、じっと私を見るのです。上半身を持ち上げ後ろ足のみで立つその姿は、まるで「歌舞伎で『いよ〜お』と声をかけられた時の状態」でした。何がどうしてああなったのかは分かりませんが、きっとトカゲにはトカゲなりの深い事情があるのだろうと思います。


Copyrights © Akiko Kimura All Rights Reserved.

動物園の横には自然観察園があります。動物とのふれあいに満足したので、今度はそちらに向かってみました。自然観察園は、「園」というよりも林そのもののようでした。「空が見えないくらい木々が密集した場所に来たのはいつ以来だろう」と思いました。辺りには人が少なく、聞こえてくるのは木々の間を吹きぬける風の音と、かすかな水の音だけです。私はどちらかというと「街」の方が居心地がよく、急に襲ってくる虫などに怯えるタイプです。それでも時々、無性に木に囲まれたくなります。帰宅してからもしばらくの間は、目を閉じればざわざわとした木々のざわめきを感じられるような気がしました。理屈はよく分かりませんが、人はやはり定期的に自然に触れた方がいいのではないかと思います。


ひと通り回って満足したのでバスの時間を調べてみますと、最寄り駅までの直通バスは1時間半後まで来ないとのこと。また、動植物園から駅まで歩くと30分かかるそうです。「1時間半待つか30分歩くか」という選択で私が出した答えは「30分歩く」でした。

動植物園を出て5分ほど歩いたところで歩道のない道路に出ました。道案内をお願いしているスマホによると、その道を900メートル直進しなければならないようです。直進中、すぐ脇を車が通る度に「あぶな!! あぶな!!」と叫んでおりましたが、脇を通る車の運転手さんから見たら「おまえはなぜこの道を歩く!!」という状況だったことでしょう。


400メートルほど歩いたところでバス停を見つけ、わらにもすがる思いで時刻表をチェックしました。すると、2分前が到着時間でその後1時間は停車しません。「2分前に出ちゃったの!? でもバス見てないよ、遅れてるのかな」などと思いながらおろおろしてますと、やはり遅れていたらしいバスがやって来ました。その姿を見て私は「ああ!!」と叫びました。人生結構長く生きておりますが、やって来るバスを見て「ああ!!」と叫んだのはこの時が初めてだったかも知れません。

「ああ!!」と叫ぶほど待ち望んでいたバスでしたが、大人なので何食わぬ顔をして乗り込みました。駅までの車窓を見ますと歩道のない道路が延々と続き、しかも上り坂もありました。何食わぬ顔を続けながらも「ありがとうバス!! もう一生悪口は言わないよ!!」と心の中で叫ぶ私を乗せて、バスは駅までの道を走り続けるのでした。

「動物や自然とふれあって癒されよう」という目的で行われた今回の散歩ですが、癒されるだけでは済まなかったところもややありました。そうは言っても動物と触れ合うことは楽しいですし、自然の多い環境はそれだけでほっとさせてくれます。さらにはたっぷり歩いたおかげでぐっすり眠ることができました。「今日はぐっすり眠りたい」という日に、色々と準備してからまた訪れてみようと思います。

ではまた!!


今回のお散歩:10,229歩


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posted by JESCAクリエイターズ at 00:00| 木村明子のさんぽではんこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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