2015年08月18日

木村明子さん「さんぽではんこ」今回は目黒

<消しゴムはんこ通信編集部/2015年8月18日配信>

消しゴムはんこ作家・木村明子さん(くま五郎本舗)の連載
「木村明子のさんぽではんこ」をお届けします。
(毎月18日頃更新予定)



暑さが身にしみる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。千葉県を拠点に活動している消しゴムはんこ彫り、木村明子と申します。

「木村明子という人物が各地を散歩してはんこを作る」というこの連載、今回は東京都目黒区を散歩してまいりました。


この日、私が家を出たのは午前9時過ぎのことでした。家を出て5分ほど歩いたところで汗を拭くタオルを忘れたことに気がつきました。「それは厳しいな」と思い、家まで戻りました。タオルを握り締め、再び家を出てから5分ほど歩いたところで左足の靴下がずり落ちてくることに気がつきました。「それは厳しいな、でもまた家まで戻るのはもっと厳しいな」と思いました。よって、この先様々な行動を取る私はすべて「左足の靴下がずり落ちた状態」です。まったく必要のない情報と言えばそうなのですが、なんとなく書きたかったので書いてみることに致しました。


さて、私が左足の靴下を直しながら都営三田線目黒駅に降り立ったのは午前10時過ぎのことでした。すっかりひとり散歩のお供と化したスマホを取り出し、目的地を入力して歩き出すとすぐに結構な下り坂に差し掛かりました。その下り坂の脇に某有名芸能事務所を見つけた私は「ああ、某有名芸能事務所がこんなところに。ではこの中にあの人やこの人がいるかも知れないのね。それは素敵♪ ……それはそうとすごいなこの坂」と思いました。

後に調べるとこの坂は「行人坂」といい、そのあまりの勾配のため車は上りの一方通行になっているとのことです。大変ラッキーなことに坂を上らずに済んだ私は、歩き方の変化により余計にずり下がる左足の靴下をもてあましながらも順調に歩を進めました。5分ほど下ると、坂の途中に最初の目的地を発見致しました。それは「大円寺」という寺院です。大円寺で手水に向かっているとお天気雨が降ってまいりました。すごく暑い日だったので、青い空から降る雨を心地よく感じました。

後に調べると、この大円寺には「八百屋お七吉三の碑」などがあったようです。あまり長居をしなかったのですが、「八百屋お七」のお話は好きなのでいつかまたゆっくり訪れてみたいと思います。


大円寺を出てスマホに次の目的地を入力し、再び下り始めた坂を下りきると大きな敷地にある建物が目に入りました。そこは「目黒雅叙園(めぐろがじょえん)」という結婚式場・ホテルなどの複合施設でした。「ほっほ〜、これが噂の」などとつぶやいてはみたものの、実はこの時点では「雅叙園」の漢字が読めませんでした。ただなんとなく「りっぱなホテルが目黒にあるよ」ということだけを知っておりました。ここでは「和」の催し物があったようで、後に調べた際に「わ〜、行けばよかった!!」と思いました。散歩をする際、目的地を調べることはあまりしないようにしているのですが、少しは調べてみてもいいかもしれないと思いました。

雅叙園を後にした私はスマホと共に歩き続け、時々「そっちじゃないから」などと注意を受けつつ次の目的地である「目黒不動尊」にたどりつきました。どうやら裏門から入ってしまったようで、工事車両などがたくさんあり「本当にここがそうなのか?」とスマホを疑っておりました。が、少し歩くと道が開け、たくさんの参拝者の方も見えてまいりました。本堂への参拝を済ませ、表門に続く階段を下り始めるとこれがまた大変急でした。この時、私と共に階段付近にいらっしゃったのはご年配の方が多く、中にはぜーぜー言いながら階段を上ってくる方もいらっしゃいます。たかが左足の靴下がずり下がることなどを気にしている自分が恥ずかしくなりました。

急な階段を下りきったところで次の目的地をスマホに入力すると、「今来た道を戻ってください」というようなことを言われました。即座に「嫌だ」と思いました。ワラにでもすがる思いで地図を確認したところ、境内の脇にのびる道から先に進めそうな気がしました。そちらに足を向けてみると上りの坂道にぶつかりました。「坂と階段、どっちがいい?」と訊かれた気がした私は坂を選ぶことにしました。気持ちを落ち着かせるため、左足の靴下を直してからペットボトルの水を少し飲みました。その際、坂道の脇に「三折坂」という道標がありました。坂を上りたくない私は時間稼ぎのためにこの道標の写真を撮りました。この時の行動が後の私を助けてくれることになるとはまったく想像もしておりませんでした。


Copyrights © Akiko Kimura All Rights Reserved.


覚悟して挑んだ上りの坂道でしたが、三折坂は意外と優しい坂道でした。無事に上り切り、しばらく歩き続けますと最終目的地が見えてまいりました。皆様は目黒に寄生虫が数多く展示してある場所があることをご存知でしょうか。便宜上、ここでは「寄生虫の館(やかた)」と呼ばせていただきます。この館の存在を知ったのはまだ独身の頃でした。「寄生虫がたくさん展示してある場所なのにカップルが多い」と知った私は「ずるい!! 私も行きたい、カップルで!!」と、よく分からないジェラシーに燃えました。10年以上経った今、その場所に既婚なのにひとりで訪れることになるとは人生とはややこしいものです。

そんな思い入れが強い場所なのですが、この先はさらっとした内容になります。その方がきっと皆様の、ひいては私のためでもあるからです。


えっと、さらっとお伝え致しますとやはりカップルの方がいらっしゃいました。この時館内にいたのは2人連れ3組(うち女性同士が1組、男女ペアが2組)と、おひとり様ひとり(私)でした。この暑いのに、館の入り口でひとりの女性がずっと立っておりました。人待ち顔だったところを見ると、恐らくお連れが館を観たいと言うので付き合って来たものの、建物に入ることすら拒んでいたと考えられます。そのお気持ち、分かる気が致します。

えっと、それからですね、館内にはそれこそたくさんの虫たちがいましてね。ただ、いるのは虫だけじゃないんですよね。宿主も一緒に標本となっているパターンがありまして、その宿主があの、相当にあの、刺激的な姿なんですね。たとえば「羊の目の周りに寄生した虫」とかですと、「羊の目の周り」だと思われる部位が一緒に展示されているとお伝えしたら、私の「くわしく書くことをためらう気持ち」がお分かりいただけますでしょうか。

えっと、更にはですね、館内に寄生虫グッズが売っている場所がありましてね。私は結構「ふざけたグッズ」が好きな性質なのですが、この時は少々気持ち悪くなり始めていたこともあり、寄生虫がリアルに描かれたTシャツやら布製品に「ふざけてる場合じゃないでしょ!!」と思ってしまいました。かといって、全力でまじめに取り組んでいる写真ばっちりなガイドブックに関しても「まじめにやればいいって問題じゃないでしょ!!」と思ってしまい、最終的にはただのクレーマーとなってしまいました。関係者の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、口には出していないのでお許しいただけたらと思います。

館を出た後、「道端に落ちているヒモ状のものすべてが回虫に見える」という恐ろしい後遺症に悩まされながら目黒駅へと向かう途中で私はふと思いました。「あれ、今回私は何を消しゴムはんこで彫るつもりだろう」と。まさかリアルな回虫を彫るわけにもいきません、というか私が嫌です。というわけで、ここで三折坂で撮った写真が役に立つこととなりました。いやぁ、何でも撮っておくものですね。ナイスショット、私!!

今回の散歩をひと言で言い表すと「無計画」となるような気がしてなりません。これからは、「目的地の選択」と「ずり落ちる靴下」にもっと注意を払おうと思います。


ではまた!!


今回のお散歩:10,864歩


Copyrights © Akiko Kimura All Rights Reserved.




http://www.eraserstamp.net/creators/000-068/
http://ameblo.jp/kumajirou--hanko/
http://www.facebook.com/kumagorouhanko


posted by JESCAクリエイターズ at 00:00| 木村明子のさんぽではんこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。